2015年8月23日日曜日

愛・アマチュア (1994)

 
コミカルで切ない大人のおとぎ話
 
 
原題: Amateur
1994年、アメリカ/イギリス/フランス、106分
監督: ハル・ハートリー
出演: イザベル・ユペール、マーティン・ドノヴァン、エリナ・レーヴェンソン
 
 
ハル・ハートリーの作品は初めてでした。
イザベル・ユペールが出ているということもあってこの「愛・アマチュア」を選んだのですが、これが何とも言えない感覚で私の感性をくすぐるのでした!
一発で大好きな作品になりました。
 

ある事件がきっかけで記憶を失ってしまったトーマス(マーティン・ドノヴァン)を救おうとする元修道女のイザベル(イザベル・ユペール)。
その一方で、トーマスに対し強い憎しみを抱いているソフィア(エリナ・レーヴェンソン)。
この3人が運命のように引き寄せられていく噛み合わないようで噛み合っていく三角関係は、絶妙に焦らしながらユーモアたっぷりに進んでいきます。
 
 
少しの時間しか登場しない人物でも十分に存在感があり、魅力的なキャラクターが多数出てきます。
みんな何処かふわふわしているのもご愛嬌。
細かい設定がなされていて、物語に華を添えるのです。
これは私の好きなコーエン兄弟の作品にも感じることができます。
 

そしてどこを切り取っても絵になるような淡いコントラストで包まれたスタイリッシュな構図ばかり。
それを支えているのは、ヒロインのイザベル・ユペールとエリナ・レーヴェンソン。
自身をニンフォマニアだという元修道女のイザベルとポルノ女優のソフィアとの対比も一役買っているように思えます。
 

イザベル・ユペールはインタビューの中で「これは抽象的スリラー、不思議な要素の多いスリラーだ」と述べています。
 
"…イザベルは理想の高い人間です。
事件に関わる一方で人間への希望を持っています。
映画は彼女の"生"への喜びを描いています。
男性と出会い、愛を知り、人間たちを知るうちに、理想は崩れていく。
彼女の理想は崇高でした。
そんな彼女がどうやって現実を受け入れていくのか。
生きるために必要な犠牲、誰もが払っている犠牲について。
それがこの映画のテーマです。"
 
 
ハル・ハートリー自身もこう説明しています。
 "例え忘れた過去でも、それから逃れる事は出来ない"
  


  
劇中でマイ・ブラッディ・バレンタインのonly shallowが流れていたので嬉しくなりました。
他にも、
the aquanettas - "mind full of worry"
bettie serveert - "tom boy"
pj harvey - "water"
the jesus lizard - "then comes dudley"
pavement - "here"
liz phair - "girls!, girls!, girls!"
the red house painters - "japanese to english"
yo la tengo - "shaker"
などが劇中歌として用いられています。
 


 
ハル・ハートリーはyo la tengoのアルバム"painful"収録の"from a motel 6"のPVの監督も手がけています。
なんと選曲センスの良い監督だこと!
 
 
 

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