るーてなんと!
先日、カナダの鬼才である映画監督、デヴィッド・クローネンバーグの「シーバース」、「ラビッド」を鑑賞しました。
彼の作品は"ボディホラー"という言葉で形容されることが多いですが、その名の通り身体、またはその一部が変形してしまう描写が隠すことなく表現されています。
特に初期〜中期のクローネンバーグに多く、「ザ・フライ」や「ビデオドローム」といった作品でそれを存分に堪能することができます。
私はこの「ビデオドローム」が初クローネンバーグだったのですが、驚きやら衝撃やら、沢山の感情が沸き出る作品でした。
正直、あまりホラーに耐性のない方は観るべきではないと言っても良いぐらい、彼の本気が見れます。ほんとに。
主演のジェームズ・ウッズも程良い気持ち悪さ(←失礼)。
でも彼、IQが180もある超天才なのです!
私の好きな映画評論家、町山智浩さんも「ビデオドロームに彼のすべてが詰まっている」と仰るほど、とにかくものすごい作品なのです。
表現もとてもわかりやすいです。
さて、「シーバース」。
これは1975年の映画です。
彼の商業映画第1弾だそうですが、これまた発想が独特の気持ち悪さに満ちています。
そんなんで大丈夫かクローネンバーグ!w
因みにネタバレはありますので絶対観たい!という方はこの先はご遠慮くださいね。
生活に必要なものがすべて揃っている高級マンション(島?)が物語の舞台です。
そこで暮らす人が、奇妙な寄生虫に蝕まれる、という奇想天外なストーリー。
と言うのも、男性の象徴を模したような寄生虫がマンションに住む人々に寄生し、寄生された人はリビドー剥き出しになっちゃうっていうぶっ飛んでる作品なわけです。
クローネンバーグよ、本当に大丈夫なのか!w
主人公は別の場所に住む医者なのですが、このパニックの原因を突き止め、そして防ぐためにマンションに向かいます。
ラストではマンション中の人間がリビドー野郎になってしまい、主人公はただ一人感染を免れようと逃げ回りますが、結局主人公も感染してしまいます。
そして、主人公も含めたマンションの住人たちは、笑顔を見せながら車で次々と外へ出て行くのです。
ホラー映画監督たちへのインタビューで構成される作品「アメリカン・ナイトメア」で彼も語っているように、クローネンバーグはこの映画で、当時のアメリカ合衆国における自由な性交渉の風潮を描いていると思われます。
マンションはアメリカそのもの、寄生虫はその意識のメタファー。
そう考えると、ただのカルトな奇天烈映画じゃないんです。
因みに、この作品の中で彼は「脳がぶっ飛ぶような作品を作りたいよね」と語っていましたw
クローネンバーグさん、漢やで…!
さて、お次は「ラビッド」。
1977年の映画です。
こちらは「シーバース」よりももっとえげつない発想でして、、
こちらもネタバレしますので、ご了承を。
ひょんな事故から女性が手術をすることに。
しかし、その手術によって、彼女の脇には女性の象徴のような跡ができ、そこから男性の象徴のようなものが飛び出し(?!)、それにより刺された者は暴力的になり誰かれ構わず襲いかかるゾンビになり、襲うと息絶え、襲われた者はまたゾンビになる、という自分でもちょっと何言ってるか分からなくなる物語ですw
性と暴力、それが連鎖していく、ということなのでしょうか。
因みにこの映画の主演を務めているマリリン・チェンバースは、当時アメリカのいかがわしい作品に出演していた有名な女優さんのようで、そんな彼女にこんな役をさせるのはクローネンバーグなりのユーモアなのでしょうね。
とにかく、ゾンビになってしまった人たちの描写が怖いのなんの!
ラストシーンはまた別の意味で衝撃でした。
映像はエグくても、考えさせられる内容ばかり。
だからクローネンバーグは面白いんですよね。
彼の作品は多数観ていますが、「スキャナーズ」「クラッシュ」「危険なメソッド」はまだ観ていないので楽しみなのです。
「ビデオドローム」、また観たくなってきたなあ。
これからも素敵な作品を期待してますぜ!